高井谷のサイノカミ

鳥取県西部の道祖神・サイノカミ
米子市淀江町
所長

環境庁に指定された名水百選のひとつ天の真名井。
その泉のほとり、樫の根元に2基のサイノカミがあります。

ひとつは目立つので良いですが、もうひとつは道から見えない側にありますので、うっかり見逃さないよう注意が必要です。

いいですか?
二基ありますからね。
⇧一回見逃した

環境庁に指定された名水百選のひとつ天の真名井
2022-03-27
目印

天の真名井

対象

双体道祖神

出典

塞神考 No.317
淀江みちくさ手帖
石に刻まれた祈り2 No.59
現地案内看板
淀江町誌

依り代について(道側)

やや大きめの不定形自然石に円形の彫込み、中に双体神立像がうっすらと浮彫りされています。
向かって右の男神は佩刀し、更に抜身の短剣を持っています。
女神は宝珠を手にしているそうですね。
見えません!

鳥取県西部のサイノカミ、天の真名井の双体道祖神
2022-03-27

また、向かって左に
元治元年
甲子九月日

と書いてあるそうです。
因みにここの元もに見えます。
ホントになんなんでしょうね…
本宮のサイノカミにも万延申十二月吉日と彫ってありました。

依り代について(泉側)

鳥取県西部のサイノカミ、天の真名井の双体道祖神
2022-03-27
横長の自然石に円形の彫込み。
そこそこの大きさです。
中に線刻されている双体神立像が出典に掲載されている拓本により確認できます。
実物はさっぱり見えません。

実はもう1基…

ところで、泉のほとりに米子市教育委員会様設置の案内看板があるのですが、少し妙な点があります。
まず読んでみましょう。
※淀江町誌と同じ内容です

秋葉三尺坊大権現

樫の木下の祠に鎮座する秋葉大権現は、集落を火災から守る神として信仰されています。
毎年四月には祭礼が行われます。

サイノカミ

高井谷には、元治元年(1864)作の神像と、小型の持ち回り用の神像があります。
小型のものは良縁を願って、婚期の近づいた跡取りのいる家に持っていき、めでたく婚礼が終ると次の家に持ち運んでいくという風習があります。

米子市教育委員会

おわかりいただけましたでしょうか。
元治元年作の神像 ⇨ 上記道側の双体道祖神
これはいいでしょう。

小型の持ち回り用の神像 ⇨ ???

ここです。

うっかり「ふーん、もう1基のほうか…」と流してしまいそうになる一文ですが、上記泉側の双体道祖神は控えめに言っても小型ではありません

しかし助け船というものはあるもので、他の出典に以下のような一文があります。

高井谷にはもう一基、五角形切石の双体浮彫りの移動用サイノカミがあると「日本の石仏」にあるが確かめ得られなかった。

塞神考/森納(1990)
所長 ここまでのところで3基の双体道祖神が登場しました。
そろそろ話をまとめましょう。
①泉のほとり、道側の双体道祖神
出典:塞神考、淀江みちくさ手帖、石に刻まれた祈り2、教育委員会の案内板
②泉のほとり、裏側の双体道祖神
出典:塞神考、淀江みちくさ手帖、石に刻まれた祈り2
③小型のポータブルサイノカミ
出典:教育委員会の案内板、日本の石仏
所在不明

③が所在不明なんですね。
はースッキリした。

ご来場ありがとうございました。
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