尾高のサイノカミ

鳥取県西部の道祖神・サイノカミ
米子市日野川以東
所長

米子市尾高には2ヶ所、計5基のサイノカミさんがあります。

前市、公園奥にある木野山さんに2基。
そして上市、黒住教横の路地にある木野山さんに3基。
特に上市の方には、県内最古とされる安永五年(1776)の依り代がありますので必見!

前市 木野山神社の双体道祖神

鳥取県米子市尾高前市の木野山神社
2022-01-29
鳥取県西部のサイノカミ、尾高前市の双体道祖神
2022-12-24
目印

前市の木野山さん

対象

双体道祖神×2基

参考

石に刻まれた祈り2 No.51

依り代について(右)

鳥取県西部のサイノカミ、尾高前市の双体道祖神
2021-05-10
方形の切石に神殿型の彫込み、中に双体神立像が浮彫りされています。
比較的よく見かける内裏雛型の笏扇像。

依り代について(左)

鳥取県西部のサイノカミ、尾高前市の双体道祖神
2022-12-24

不定形自然石の前面を整えて注連縄、また左右に文字が彫ってありますが気合を入れて読んでいなかったのでわかりません。
とりあえず右に製作時期、左に施主の情報があったような気がします。

中央には壺型の彫込みがあり、その中に双体神立像が浮彫りされています。
鉢巻の印象的な、向かって右の男神は笏を。
左の女神は扇を所持。

どこかで見たな、とずっとモヤモヤしていましたが…

鳥取県西部のサイノカミ、日下神社の双体道祖神
日下神社の双体神

(゚Д゚)ハッ!
日下神社の双体道祖神でした。

珍しい鉢巻を身に着けているのをはじめ、他の特徴もいちいち一致しています。
特に猫背っぽいところなど…

日下神社の依り代が安政5年の作。
木野山社の依り代が慶応っぽい(読んでない、上述)ですので時代が下っているわけですが、意匠が退化するどころかむしろ洗練されているように見えます。

気になって手持ちの写真をもう一度さらってみたところ、出てくるわ出てくるわ…
日下から小波上あたりに分布するグループを形成していました。

類型:猫背タイプ

その他.

鳥取県西部のサイノカミ、尾高前市の地主
2022-12-24

双体道祖神×2基のほか、少し奥に大きな立石があり注連縄が巻いてあります。

出典はありませんが、いずれにせよ同じく配祀されている地主さんなのでしょうから是非手をあわせておきましょう。

上市 黒住教横 木野山神社の双体道祖神

鳥取県米子市尾高上市黒住教横の木野山神社
2021-05-10
目印

黒住教横の木野山さん

対象

双体道祖神×3基

参考

塞神考 No.357
石に刻まれた祈り2 No.52

鳥取県西部のサイノカミ、尾高上市黒住教横の双体道祖神
2022-01-22

駒形っぽく見えなくもない自然石に、うっすらと神殿を浮彫り。
中を少し深めに彫り込み、双体神立像が浮彫りされています。
向かって右の男神は笏、左の女神は扇を所持。

いずれどこかで書こうかと思っていますが、男神が頭に載せている手拭い(うっかり八兵衛のアレ)だかはんぺんだかが特徴的です。

何なんでしょうね?

類型:小波浜公民館の双体道祖神

依り代について(中央)

鳥取県西部のサイノカミ、尾高上市黒住教横の双体道祖神
2022-01-22

小型で方形の母石に双体神立像が浮彫りされています。
向かって右の男神は笏、左の女神は…

扇を所持しているという意見もありますが、神楽鈴のような気がしないでもない。

母石の向かって左側面には
安永五年申三月日(1776) の文字。
これが、県内で確認されている最も古い道祖神なんだそうです。

類型:烏帽子タイプ

依り代について(左)

鳥取県西部のサイノカミ、尾高上市黒住教横の双体道祖神
2022-01-22

ゴツゴツして大きな三角形の自然石を母石とし、整えられた前面に双体神立像が浮彫り線刻されています。
向かって右の男神は鼻高の猿田彦で佩刀し槍を、左の天鈿女命は宝珠を所持しています。

また、右下に
慶應三卯年二月日
願主村中

の文字。

類型:猿田彦タイプ

所長

地衣類かと言われればそう見えてしまうような気もしますが、三基ともにうっすらと彩色の跡が残っています。
近年まで色塗りの行事があったのではないでしょうか。

また、安永八年会見郡の神社改帳に尾高上市村 道祖神 無社 二間八方と記されているそうです。

ご来場ありがとうございました。
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